活 動 記 録

宗教者災害支援連絡会(宗援連)情報交換会への参加報告

 宗教者災害支援連絡会(宗援連)の第33回情報交換会が7月31日(火)午後、京都の知恩院境内の和順会館で開催された。関西での開催は初めてであり、支縁のまちネットワークがこれに相乗りし、「非日常支援と日常支援をつなげる―災害救援と寄り添い支援―」というテーマの下、同ネットワークから、三浦紀夫氏(特定非営利活動法人ビハーラ21事務局長、真宗大谷派僧侶)と渡辺順一氏(羽曳野希望館代表表、金光教羽曳野教会長)が報告を行った。双方にとって、このようなコラボ企画は初めての試みであった。

 第一報告は、三浦紀夫氏による「多職種連携の中の宗教者-ビハーラ21の取り組みから-」。初めに三浦氏がご自身の経歴とともに「ビハーラ21」を始めた経緯について紹介。三浦氏は2001~2011年に大阪・心斎橋にある百貨店のメモリアルコーナーで仏事相談員を務め、来店する人々の悩みに耳を傾けるようになったことが、後に「ビハーラ21」の活動を始めるきっかけになったことが紹介された。

 「ビハーラ21」の活動は地域連携(地域活動協議会、連合町会、小中学校、社会福祉協議会、地域包括支援センター)と多職種連携(医療、福祉、司法に関わる諸領域)によって展開されているが、6月18日の大阪府北部地震(ビハーラ21がある大阪市平野区は震度4)のときには、地震後にひとり暮らしの高齢者宅を訪問し、無事を確認するなどの活動も行ったという。また、入院された方へのお見舞いも行っており、これらはいずれも「一人暮らしだが一人ぼっちでない」ことを確認してもらうためにあるとのこと。大がかりな支援活動だけでなく、このように「ちょっと様子を見に行く」という日常的な活動の大切さを認識させていただいた。

 第二報告は、渡辺順一氏による「シェルター事業を通じて-日常支援の中での非日常支援-」。渡辺氏も最初にご自身が活動に携わるようになった経緯を紹介された。渡辺氏は金光教教学研究所で20年ほど研究に従事された。その後、地元大阪に戻ったところ、「ホームレスがあふれ、若者が(ホームレスを)襲撃していた」という状況を目の当たりにし、その時の体験が現在の活動につながったという。

 渡辺氏が代表をつとめる羽曳野希望館は、おもに女性・家族・DV被害者を対象とした一時保護施設(シェルター)である。生活困窮者自立支援法の下、行政サービスの下請け事業という位置づけであり、運営開始(2015年8月)からこれまで約40名が利用していることなどが報告された。

 続いて稲場圭信氏(宗援連世話人、大阪大学大学院教授)が、「大阪北部地震と西日本豪雨の被害と宗教界の支援の状況」をパワーポイントで現地の状況を映しながら報告した。

 その後、「情報交換・報告」として、真如苑の救援ボランティアSeRV、真宗大谷派、創価学会、天理教災害救援ひのきしん隊、WCRP日本委員会・新宗連青年会の協働ボランティアVOWSによる被災地支援についての報告が、各教団関係者により行われた。

 当日は、気象庁が「災害と認識」と記者会見を開くような連日猛暑の中での開催となった。しかし、東京をはじめとして遠方からの参加者、またメディア関係者の取材もあり、総計で約50名が参加して、とても有意義な情報交換会となった。 (中西尋子)