活 動 記 録

支縁のまちネットワーク第4回公開学習会
日時 2015年3月24日(火) 17:00~18:45
場所 金光教大阪センター
演者 酢藤國忠氏
(天理教大阪教区福祉部副部長・天理教真榊分教会前会長)
演題 「大阪の町で寄り添い支援を行う
―地域社会に生きる宗教者として―」

20150324中外日報2015年4月8日号に掲載されました

■心の皺を理で伸ばす

 第4回を迎えた今回の公開学習会では、教会を拠点とした地域活動を長年 務めてきた天理教真榊(まさかき)分教会前会長の酢藤國忠(すどう・くにただ)氏に、 地域社会に生きる宗教者としての取り組みについて語っていただいた。 酢藤氏は、昭和16年に新潟県六日町の農家に生まれた。そこでは昔ながらの助け合って 生きる人々の姿があった。その後、昭和34年に大阪市東淀川区にある天理教眞榊分教会に 養子となり入信。故郷の相互扶助の環境の中で育ってきて、天理教の一れつ兄弟、たすけ あいの教えが抵抗なく心に治まったという。

 大学を出て天理教本部の施設に勤務した後、同教会に戻って、教会活動のかたわら、 昭和45年に大阪市の青少年指導員になったのを皮切りに地域の諸活動に積極的に参加してきた。 その時期の活動の最盛期には、毎年70~80人の親子ハイキングを実施したり、地域に 開かれた教会作りとして紙芝居やお泊り会を開いたりした。

 その後、酢藤氏はそのリーダーシップを買われて、町会長や地区民生・児童委員協議会 委員長、社会福祉協議会・地域活動推進協議会各副会長、他諸々の役職に従事して、 今日に至っている。町会長のときには懸案だった町会館の問題を解決したり、民生委員としては 高齢者の安否確認運動を展開して、孤独死から救った人もいたとのこと。しかし現在、地区の 生活保護世帯が増加しているにもかかわらず、地域ケアという本来の民生委員の役割が 弱体化していることが気掛かりである。

 ユニークな活動としては、昭和48年のオイルショックを受けて、天理教関係の有志と始めた 再生福祉運動がある。これは「すべてが神様からのお与え」であるというモットーの下に、 人々の真心を集めるだけでなく、自らも真心でつとめるという信仰的な意味が込められていた。 その収益活動は各種福祉団体や施設に寄付した。古着はアフリカ難民救援活動に当てたり、 古本は教会の敷地に「自由文庫」を設けたこともあった。

 天理教の教会は、自分たちも家族を作りつつ、他の人々にも拡大家族の一員となってもらって 救済・支援を行うことを得意とする。天理教大阪教区では昨年、教区里親会が発足。 また、虐待などで親と暮らせなくなった子供を一時的に預かる「児童一時保護委託」を 始める教会も数多く出てきた。酢藤氏の教会でも、平成24年より里親活動や一時保護委託、 自立準備ホーム(保護観察・試験観察下の少年の受入れ=更生保護事業)の活動を進めている。

 講演の後は、参加者(計12人)との質疑応答があり、公的機関との関わりや宗教施設での 子育て支援等のあり方について活発なやり取りが行われた。