活 動 記 録

支縁のまちネットワーク第5回公開学習会
日時 2015年6月27日(土) 15:00~17:00
場所 カトリック大阪大司教区本部事務局 一階集会室
演者 松浦 篤子 氏
カトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピス 事務局
演題 「シナピスによる外国人支援」

シナピスの外国人支援活動

20150627_1 今回で5回目となる公開学習会は、カトリック大阪大司教区事務所の会議室において、シナピス(カトリック大阪大司教区社会活動センター)事務局のマツウラ・デ・ビスカルド篤子さんに、シナピスの外国人支援活動を中心に語っていただいた。(左写真:松浦氏)

 まず、日本のカトリック教会組織について概略の説明があった。『カトリック教会情報ハンドブック』によれば、全国16教区に約44万4千人の信者がいるということになるが、この数字には外国人信者数は反映されておらず、その数は、大阪教区でも信者数(5万2千人)の倍はいると考えられ、名古屋教区(同2万6千人)では8万もいるという。また、カトリック教会には「難民移住移動者委員会」,「カリタスジャパン」,「正義と平和協議会」,「部落差別人権委員会」,「こどもと女性の権利擁護のためのデスク」、「HIV/AIDSデスク」など、社会問題を取り扱うセクションが多数あることも紹介された。

 次に、大阪大司教区とシナピスについてお話があった。シナピスとは、大阪大司教区内においてさまざまな社会問題を扱う複数のセクションを2002年に統合して社会活動センターとして再編したものであり、現在、専従職員4名、パート4名の体勢をとっていること、また、大阪大司教区を8地区に分けてそれぞれに設置された社会活動委員会とシナピスが直接、連携していることなどを話していただいた。

 さらに、シナピス難民移住移動者委員会の歴史的経緯について、1970年代後半のインドシナ難民に始まり、80年代の西南アジア・東南アジアからの男性労働者、東南アジア・東アジアからの女性労働者(「じゃぱゆきさん」や「農村花嫁」など)、90年代の中南米からの日系人、2000年代には研修生・技能自実習生、そして2010年代になると介護労働や漁業労働など、難民や労働者の多様な流入に応じて40年にわたってさまざまな対応が迫られてきたことが、年次報告の統計資料をもとに説明された。
 ついで、近年とくに問題視されているJFC(新日系フィリピン人=1980年代以降、興行ビザなどで来日したフィリピン人の母と日本人の父との間に生まれてフィリピンで育った子供たち)について、新聞記事などを引用しながら説明があった。きっかけは、2014年7月に、東大阪市に集住しているJFCへの学習支援が不十分で、子どもたちが不登校になっているとの情報を得てその支援グループができたことに始まり、さらに同年12月には岐阜・愛知で人身売買の被害に遭っていた数十人のJFCの母子と関わり、そのうちの合計15名をシェルターで保護してきたこと、その維持のために業務委託を受けていることなどが紹介された。

20150627_2 最後に課題として、カトリックは国内外のネットワークというメリットを持っているが、地域社会と宗教者のつながりを阻害する閉鎖性の問題、当事者が抱える深刻な事情のために周りに理解してもらえないという問題、自立支援がかえって本人たちを孤立に追い込んでしまうという問題など、いくつかの課題が挙げられた。
講演の後は、参加者(計13人)との質疑応答があり、シェルターの維持やカトリック教団内外との支援の連携などについて活発に質問が出された。

⇒ MLホームページ http://www.freeml.com/shien-unei